ベェェン! 琵琶の音が鳴ったかと思うと俺は不思議な空間にいた。琵琶を持った長髪の女を中心に不自然に歪められた空間。俺の周囲には下弦の肆の零余子、下弦の参の病葉、下弦の弐の轆轤、そして下弦の壱の魘夢がいた。下弦の伍の累はいなかったが十二鬼月の下弦だけが呼び寄せられているようだ。十二鬼月の下弦だけが集められるなんて初めてのことだ。ベェェン!もう一度琵琶の音がなったかと思うと俺たちは一カ所に集められ、目の前に黒い着物を着た女が現れた。「なんだ、この女は。」そう思った次の瞬間だった。「頭をたれて蹲え。平伏せよ。」今まで経験したことがないほどの戦慄が全身を駆け巡る。その一言で俺は自分の置かれている状況を十分すぎるほどに理解させられた。それとほぼ同時に、俺たちはそれぞれが自分でもこれほど速く動けるのかと思うほどの速さで平伏していた。無残様だ。無残様の声。気づかなかった。気配すらも変えるほどの恐ろしい精度の擬態。「も、申し訳ございません。お姿も気配も異なっていらしたので…。」零余子が恐る恐る謝罪の意を述べるが、「誰がしゃべって良いと言った?貴様らの下らぬ意思で物を言うな。」恐怖と言う言葉では表しきれないほどの恐怖。生きた心地がしない。無残様はさらに続ける。「累が殺された。下弦の伍だ。ここ百年あまり十二鬼月の上弦の顔ぶれは変わらない。鬼殺隊の柱を葬ってきたのは常に上弦の鬼達だ。だが、おまえ達下弦はどうだ?何度入れ替わった?私が問いたいのは一つのみ。何故に下弦の鬼はそれほどまでに弱いのか?」そんなこと俺に言われても、と思った刹那「そんなこと俺にいわれても?なんだ?言ってみろ!」無残様はこう言い放った。まさか思考が読まれているのか?まずい!「何がまずい?言ってみろ!」俺の中での疑問は確信に変わった。死ぬ。殺される。「お許しくださいませ鬼舞辻様!どうか、どうか御慈悲を!申し訳ありません!申し訳ありません!」俺は必死だった。
そして、彼女は、誰にも話すことが許されていないため、彼女に何が起こったのかを知る方法がないことを説明します。
彼女は、一緒にいた悪魔たちが全員消えてしまい、誰とも連絡を取ることができないと言う。
月に取り残された人々が、宇宙飛行士以外に地球に戻る方法がないという状況を考えると、彼女の言う通りかもしれないと思う。
そして、私たち2人はまだ生きているので、彼女が死なないのも納得できます。
しかし、もしも彼女が悪魔に取り残されてしまったとしたら?
もし、彼女の言うとおりになったとしたら、私だけが後悔することになります。
というのはちょっと信じられません