この日記を見ているということはきっと私はまだ死ねていないのでしょう。

この日記を見ているということはきっと私はまだ死ねていないのでしょう。どうか私の代わりに死んでください。この日記を遺して死を迎えたいのです。私はもう疲れてしまいました……。(次ページは塗りつぶされている)5日目 今日もまた病院だった。医者に入院する原因となった事故について聞いてみたが、自分の記憶と食い違う回答ばかり帰ってきたため諦めた。それからというもの病院の部屋から一歩も出ていない……。今日もまた病院だった。自分は事故にあった記憶など覚えていないのに、医者たちは交通事故に遭ったという事実を刷り込んでくる。まるでその記憶が本当にあったかのように……。今日もまた病院だった。最近、自分が何をしたのか全く思い出せないことが多くなった。今日だって医者に「あなたは昨日買い物に行っていましたよ」と言われたが、何をしていたかは全く思い出せない。自分は何か大切なことを忘れている気がする……(このページは塗りつぶされている)7日目 今日も病院だった。いい加減外に出たいと思っていたところにおあつらえ向きな話がやってきた。なんでも自分の両親を名乗る化け物がやってきて、自分たちの養子になれと言ってきた。なんでも自分の実の両親は既に死んでおり、その葬式をやったばかりだかららしい。自分はもちろん断ったが、もう戸籍上では養子になっているらしく拒否権はないらしい……。とりあえず明日はその両親が訪ねてくると言っていたので、今後のことについて決めようと思う。「な……なんだよこれ……。」読み終えた俺は日記に書かれている内容がにわかには信じられなかった。これは本当に自分が書いたものなのだろうか……?だが実際に私は病院にいる。

医師と看護師が私を医務室に連れて行った。今度は医師が興奮剤をくれた。心臓を落ち着かせれば、また明るい自分に戻れるだろう、と。心臓はまだバクバクしているようだ。どうか私の代わりに死んでください。この日記を残して死にたい。もう疲れた。昨日は病院に行った。買い物に行ったら心臓発作だと言われた。医者に診断書を持ってこれるかと聞いた。医者は、それは良くないと言った。病院からの報告を待つべきだと。それ以来、昨日自分が何をしたのかわからない。昨日も今日も病院にいた。記憶はあるんだけど、曖昧なんだ。日記を読もうとしても読めない。現実の世界に帰る道を失っているような印象を受け続けている。だから死んでしまうのだろうか。15日目 まだ病院にいる。もう行きたくない。この日記を残して死にたい。もう疲れた。死にたい。今日も病院に行った。看護婦さんに原因となった事故のことを話した。彼女は僕を眠らせるための薬をくれた。僕はその薬を飲んだ。いつ心臓発作を起こしたのか覚えていない。現実に戻る道を失っているような気がする。お医者さんは、心臓が回復したら元に戻れると言った

Photo by byronv2

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