いま全国各地で、社会構造の変化や超高齢化などの理由で手入れの行き届かない竹藪が増えている。間引きもままならず、枯れた竹が斜めに倒れかかり、蔓草が絡んで鬱蒼とした荒れ果てた竹藪は見栄えの悪い物である。この竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけた。竹藪焼けた。
“竹の台はとても美しい” 「とても美しい。 “このスタンドが好きかどうかわからない” 叱られたり叱責されたりすることなく、このようなことを聞けることが嬉しかった。竹のスタンドがなかったら、他人のことをそんなふうに尋ねる機会はなかっただろう。 しばらくして、私の竹スタンドは完成した。私は買い物をしに街に戻った。 「三倉さん、最近あまり街に出てないって言ってたよね?どんなふうに過ごしていたのか教えてください」。 「はい、妹と昔の故郷に帰りました」。 「故郷に? 「はい」。 「お名前、肩書き、苗字は? 「ヒロミです。酒井ひろみです。20代です」。 「わかりました。酒井美倉です」。 「酒井美倉です。20代です。” 「ごめんなさい。もっと年上かと思ってました」。 “あ、いえ、そんなことはありません。まだ20代です」。 「お若いですね。では、いろいろとご苦労がおありのようですね」。 「いいえ、まだ歳をとっていません」。 「では、おいくつですか? 「31歳です」。 「それは幸いだ、三倉」。 三倉は笑って答えた。 「いや、いいんだ。いや、いいんだ。 「それを聞けてよかったよ、三倉」。 「そうですね。お買い物を楽しんでくださいね。申し訳ありませんが、もう少し買い足さなければなりません」。 「でも急がないと。いつ帰れるかわからないから」