生暖かい液体が、地面にポトポト落ちる。それは地面を赤黒く染めた。その上を歩いて奴のもとへ向かう。そいつは気持ち悪い笑顔でこちらを見つめる。
“本当に良かったよ。でも、ヒーローになるって言ったよね?じゃあ…ヒロインになるんだよね?ヒロインって何て言うの?” 私は彼に尋ねる。 “えへへ。私はヒーローよ。ただ、まだ英雄的なことは何もしていない。普通の男だよ” “君はスーパーヒーローだよ!” 「違うよ。スーパーヒーローにはなりたくない」。 “でも、あなたはとてもハンサムよ!” “ん?ハンサムだけど、スーパーヒーローじゃない。特別な力もないし。 「羨ましいわ!あなたはとても勇敢でハンサムよ!” “英雄的なことはたくさんしてきたけど、英雄的なことはまだしてないんだ” 「おおー!私は今ヒーローよ!” 「もうすぐヒーローになれるよ。だからあなたもヒロインになるのよ!” “おい、調子に乗るなよ!ヒーローならヒーローの名前なんていらない。自分の名前にヒーローの名前をつけるな!” “へへっ。なるほど…” 二人で笑い合う。二人でふと見ると、子供たちの集団がいる。 “おい、おい、おい…” 私は彼らに歩み寄る。彼らは好奇心いっぱいの目で私を見ている。 “やあ、今日は初登校だね!” “そうなんだ!” 彼らは周りを見る。空と地面を見る。雲と地面と空を見る。 「ねえ、公園に行かない? “そうだ、公園に行こう” 空、地面、雲、地面、雲、地面、雲……彼らは地面と空と地面と空を見る。