ここはどこだ。

ここはどこだ。なぜこのような場所にいるのかわからず、動けず思考だけが続いていた。直前の行動を思い起こすと、大学の講義を終え駅のホームで電車を待っていたはずだ。その時に、授業の疲れからかぼっーとしていたことは覚えている。しかし、見覚えのないこの場所にいるのか。

私は橋の上にいて、川をよく見渡せたが、川はとても深く、その暗い場所では道が見えなかった。再び正しいルートを見つけようとしたが、風は強く、川は近かった。川は満水で、地平線が見えなかった。 墨汁のような水の端に、渡るはずの橋が見えた。橋の真ん中にとても大きな木があり、その木の上に人がいた。私を見たのだろうか。私は上着を持っていなかったことを思い出した。川に飛び込みたいと強く思った。泳いでいるような、とても美しい感覚だった。飛び込む準備はできていたが、川に飛び込みたくはなかった。溺れてしまうのではないかと思ったからだ。私は数秒間彼を見上げたが、彼は私を見ていなかった。彼は遠くの木々を見ていた。私は遠くの木々を見ようとしたが、何も見えず、木々の中に迷い込んでしまうのではないかと恐れた。 朝一番の光が見えた。眠ってしまったのか、それとも目が覚めてしまったのかはわからなかったが、私の後ろに立っている男を見たのは確かだった。帽子とジャケットを身につけ、靴は履いていなかった。本ではなく、新聞を持っていた。私は彼に投げ飛ばされるのではないかと恐れたし、泳げないこともわかっていた。川が近づいてくるのがわかった。

Photo by Leonard Chien

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