[保健賄賂]・健康管理における金銭的インセンティブの重要性が増している・金銭的インセンティブを提供することで、患者のモチベーション向上が図られている→ フィラデルフィアでは、抗凝血薬のワルファリンを処方された患者に報奨金が支払われるシステムが導入されており、処方箋の遵守を促している・健康保険を提供する企業も、健康増進のために従業員に金銭的インセンティブを提供している・アメリカの大企業の多くが健康維持プログラムに参加する従業員に金銭的インセンティブを提供している→ 健康保険料の増額などのペナルティーも導入されている・健康的な行動を促す金銭的インセンティブ→激烈な道徳論争を引き起こしている[よこしまなインセンティブ]・友人が子供たちに礼状を書かせ、お金を渡していた→ 子供たちに正しい価値観を教えることに繋がらない可能性がある・金銭的インセンティブは本質的なインセンティブを損ない、市場規範となってしまう可能性がある→ 移民権の販売や高額な家の購入によるビザ取得など、金銭的インセンティブを用いた政策が提案されている・市場の影響により、難民の扱い方や価値観が変わる可能性があることに懸念が示されている→ 市場は社会規範に影響を与え、非市場的なインセンティブを排除する可能性がある[罰金VS料金]・罰金と料金の違い→ 罰金が道徳的な非難を表しているのに対し、料金は道徳的な判断をいっさい含んでいない→ 例えば、ゴミのポイ捨てに罰金を科すことで、社会が望まない悪しき姿勢を示すことができる・身障者用の駐車スペースに駐車することで高額な罰金を支払うことを仕事上のコストと考える人もいる→ その行為が道徳的に問題があるということが理解できる・罰金を料金として扱うことで、コミュニティーのニーズや願いを尊重しないことになる。
2005年10月にBMJ誌に発表された研究では、公衆衛生プログラムに金銭的インセンティブを導入したところ、健康行動に変化が見られたという。この研究は、医療における金銭的インセンティブが「難民の扱い方や価値観を変える」ことができるかどうかという問題とは必ずしも関係がないにもかかわらず、金銭的インセンティブは「実際には不健康な行動を助長する可能性がある」［Björkman, 2006］し、「プログラムにおけるモチベーションのレベルを下げる」［Kosko, 2006］と結論づけている［Björkman, 2006］。この研究の著者は、金銭的インセンティブによって、他の方法では登録しなかったであろう若くて健康な人々にとって、彼らのプログラムが「より人気があり」「より魅力的」なものになったと指摘している。著者らは、これがより「自発的」な参加と健康行動の減少につながった可能性を示唆している。著者はまた、金銭的なインセンティブはプログラムへの支出を増加させたが、提供されたケアの質やアクセスに変化はなかったようだと報告している。著者らは、金銭的インセンティブが内発的インセンティブを損ない、市場の規範となる可能性を懸念しており、医療価値に基づくヘルスケアに対する金銭的インセンティブの効果を評価するためには、より包括的な調査研究が「必要である」と提言している