政治的・経済的・技術的革新が、一般市民の生活や考え方に変化を与えるといえる。
例えば、産業革命の第一波は大量生産と大量消費の世界を作り出した。産業革命の第2波は、私たちの働き方、食べ方、考え方を変えた。産業革命の第三の波は、私たちの生き方を変えた。 このような生活様式の激変が、私たちの心をどのように変えるのか、どのように予測できただろうか？ 本書では、複雑な適応システムとしての心という概念に基づいた心理科学へのアプローチ-認知心理学のアプローチ-を紹介する。 心は単純な機械ではない。むしろ、相互に関連し合う認知過程のダイナミックな網の目であり、世界とその中での私たちの位置についての考えや信念の網であり、複雑な学習過程と行動の配列である。 このような網は、複雑な適応システムと考えることができる。 その結果、心は直面する世界の複雑さに対処するために、かなりの程度まで進化してきた。その結果、私たちは膨大な数の認知プロセスを持つ、極めて広範で複雑な心を進化させてきた。 その発明者であるアルフレッド・ビネが著書『人間の思考の本質』（1923年）の中で述べているように、心は非常に複雑な機械なのである。 しかし、その結果、心がある状況に対処できないとしたらどうだろう？ ある状況、つまり決して起こらない出来事があるとしよう。このような状況は、単純な思考では説明できない。