電動式フットレストを高い位置にした。

電動式フットレストを高い位置にした。フットレストに載せた足を、ふんわりとした上質な感覚が包み込んだ。レッグレストもそれに合わせた位置に調整する。レッグレストも電動式で、私の足を大切に支え上げた。これまた電動式の座面スライドを操作して、腰から下を前に進める。理想郷にある草原の柔らかな植物の上に、足を投げ出して座ったかのようだ。続いて、シートリフターで大腿を持ち上げる。もちろん電動。人間工学的なシートに支持された下半身は、重力を感じない。無重力の中で、筋肉が弛緩してゆく。そんな中で、電動のランバーサポートを働かせて、腰骨を保持させる。柔らかなシートの上で、骨盤はしっかり直立していた。シートと体が一体化する感覚。電動リクライニングを倒しこむ。背凭れは、その根元と骨盤の上のあたりの二か所で角度がつく、中折れシートであることが分かった。骨盤が深くシートに沈み込むと同時に、背中、特に肩を中心として、シートが私の体をサポートした。体重が豪華なシートの座面に背凭れに分散してゆき、下半身に続いて上半身も無重力となった。体の質量を感じさせないこのシートは、私の心を安らぎに誘う。ヘッドレストさえもが電動で、適切な位置に動かせる。ふかふかだが、両サイドに剛性が有るヘッドレストに頭を預けた。数多の電動モーターを備えた豪華なシートが、私を包み込む。私は、深い安心に包まれた。重力を感じない。シートに溶けてゆく。シートベンチレーターを作動させても、駆動音は聞こえない。ただただ、V型8気筒エンジンの排気音が心地良い。私は、キャデラックCT6に飲み込まれ、キャデラックCT6に包まれ、そして、キャデラックと一体化した。このキャデラックでなら、何時までも乗っていられるし、何処にでも行ける。キャデラックCT6は、宇宙船なのだ。キャデラックよ、私を理想郷に連れて行ってくれ。

“私たちはまだ嵐の中にいます。”と私は言いました。”しかし、私たちは最後までそれを先送りすることができたと思います。”

“それなら、私たちは最高の幸運を手に入れたことになります。”と彼女は答えた。”終わりは近づいています。

“そうであってほしい “と、私は思いました。

しかし実際、私たちが風の話をしていると、いっせいに風が吹き荒れ、通りの小さな建物を吹き飛ばしてしまったのです。私は走っていって鍵の鍵を手に入れたが、もう遅かったので、走って戻ってドアを開けた。そして、急いでいたため、ドアを閉めるのを忘れてしまい、風の音でドアが開いてしまい、もう手遅れだとわかりました。すごい勢いで風が吹いてきて、私は倒され、後ろに転がりました。しかし、私は立ち上がって窓の方へ走り、何か気配を感じることができないかと考えました。しかし、その時、私はその男の顔を見たのです。彼は木箱の上に座っていて、私が見上げると仰向けに寝ていて、頭や顔から血が流れているのが見えました。しかし同時に、私は暗闇の中に、黒人の顔をした、猫の色をした大きな黒い犬の姿を見ることができた。それは格好の良い黒い犬であったが、その姿とは裏腹に、全く犬らしくなく、黒人のような姿であったからだ。走るには十分な大きさで、身の丈にあった立ち上がり方をするところだった。私は通りの小さな建物と、黒人の頭から流れる血と、木箱の血を見た。しかし、自分の目で見に行く勇気はなく、ドアの前まで戻ってドアを閉めました。

しかし、次の日の朝、私は起きて家の中を回っていました。壁の上まで行って、また窓から外を見たが、何も見えなかった。よく見ると、黒人の頭からは血が流れなくなり、顔は白黒になっていたが、黒い犬は夜見たときと同じように大きく黒いまま、上がってくる途中の姿であった

Photo by desanvomir

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