卒業式後の静かな校庭の片隅で。

卒業式後の静かな校庭の片隅で。満開の桜の下に立つ幼馴染の姿を目に焼きつけるように眺めていた。緑色の髪にはいくつもの花びらが散っていて、そこに長く留まっていたことがわかる。幼い頃、2人で桜の花びらをすくって舞散らした遊びをしたのを思い出した。お前はまるで桜の妖精みたいに幸せそうに笑っていたのに。意を決して近づくと、振り返ったお前は悲しげに笑った。

それはまるで、子供の頃、同じクラスだった少年の私を探しているかのようだった。私は2年生で、あなたと同じクラスだった。 「う、うわ」。 でも、手をつなぐことも、好きだと伝えることもできなかった。 「だから、言ってほしい。自分なりに、自分でも言えないような言葉で。本当の自分を教えて」。 同じクラスだったけど、1年間ずっと離れていた。あなたとコミュニケーションが取れたのは、これが初めてでした。同じクラスでなかった時間は、寂しさ、後悔の時間だっただろう。それを伝えたかった。 「どう思う? と訊いた。 「当たり前だよ。君は美しい」。 え? 「嘘じゃないけど、ハンサムとかそういう意味じゃないんだ。でも、ハンサムとかそういう意味じゃないんだ。強いし、美しい。この世界でひとりじゃなくてよかった。こんな風に女の子を見るのは初めてだよ」。 笑顔で言ったのは嘘だった。 「うれしい」。 あなたの声は私の中に響いたが、私は自分が美しいと呼ばれるに値しないことも感じていた。 「女の子には見えないけどね」。 「そうですか」。 「そうでしょ? その笑顔はまるで子供のようだった。嬉しいのか、悲しいのか、自分でもわからなかった。

Photo by Dirección de Comunicación UTPL

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