自分

自分

* 背もたれの高い椅子とテーブルが置かれ、長いバルコニーからは眼下に広がる街の絶景が見渡せる。 彼女はとても明るく陽気な顔立ちで、小さく繊細な鼻をしていた。彼女はあまり話さず、私が入ってきたときも挨拶もしなかった。彼女は私を椅子に案内し、その背もたれに座った。彼女は懐中時計を取り出して私に見せた。 「今日は77日、お祝いの日よ」。 「お祝い?私は言った。「お祝い? 「新年よ 「新年? 「明日は何もできない。お正月。新年の前の日。 「正月って何? “みんながお祝いをする日だよ。子供たちが初めて一堂に会する日です」。 「子供たち? 「そう、子供たちは未来なんだ。 「子供たち?私は戸惑いながら尋ねた。 「そう、すべての子供たちが未来なんだ」。 “みんな未来の子供たちなの?” 「そう、未来。未来は子供たちです」。 「でも、未来はここにはないんでしょう? 「未来は子供たちの中にある。 「子供たち?でも、子どもたちはみんな未来なんだ」。 「ええ、でも全員ではありません。ほんの数人だ。未来はどこにでもある。未来に生まれる必要はない。未来に生まれなければならないんだ」

Photo by Alaskan Dude

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