いきの美学で筆者の言う「いき」や「くずし」の論説に対し、あなたの意見を論拠とともに400字以内で示してください
清武和弘：一つの美学が他の芸術作品の美学に関係ないという考え方は間違っていると思う。他の芸術作品に関連するかもしれない美学の形はいくつもある。例えば、『風のクレ野』では、物語そのものが美学の一形態である。そのひとつに、物語とは自分の頭で考える美学であり、書く人だけが考える美学である、という考え方がある。これが物語を美学の一形態にしているのだと思う。 アニメの美学の問題点のひとつは、マンガの美学とはまったく違う書き方をしていることです。これがアニメの面白さでもある。ストーリーそのものが、美学の面白い形になるように書かれている。そもそも考えもつかないような美学が使われているが、それでも全然あり得る話だ。これが、アニメを美学として説明しようとすることの問題点である。アニメは、従来のアニメの形とは一線を画す一種の美学を与えるような、通常のアニメとは無関係な方法で書かれているのだから。 通常のマンガの書き方とはまったく異なる方法でストーリーが書かれているのではなく、ストーリーが新しいスタイルを用いているのである。