「お困りのようだねぇ」高すぎず低すぎず、穏やかではあるが時に含み…

「お困りのようだねぇ」 高すぎず低すぎず、穏やかではあるが時に含みをもたせるようにも聞こえる声音。その声を聞くと、安心するようになったのはいつの頃からか。本人には気恥ずかしさが勝り伝えたことはないけれど。 届け屋である大也にとって、調達屋である玄蕃は頼りになるビジネスパートナーだった。自身の夢にとっても、その腕を貸してほしいと願うほどに。玄蕃の助けがあれば、俺は、俺達はさらに加速できる。そう思って何度も勧誘したが、今のところ全敗。

「まあ、いずれにせよ、大丈夫です。部下に少年を二人で話をしている部屋に連れて来させます」。 玄蕃の話を聞き終え、私は自分の部屋に戻った。なぜか早めに1階に降りると、そこにはすでにユキがいた。 「ユキ、どうしたの? 「ユキ、話したいことがあるんだ。僕と一緒にいるはずなのに、一緒にいるはずの人がいないんだ」。 「私は…」。 「いないと言っているのではありません。確かに部屋は十分すぎるほどありますから、まだ彼と関係が続いている可能性はあります」。 由紀は頭を下げてうなずいた。 「これは・・・何ですか?予想外です」。 「何を言っているんだ、ユキ。あなたは関係ないんですか?奴隷として召喚されたのはいいけれど、すでに婚約者がいるんだから、彼との関係は秘密にしておきたいんじゃないの? 「それは違います……」。 「でも、信じてもらえないかもしれないけれど、言っておきたいことがあるんです」。 「何ですか? 「ユキ、落ち着いて考えよう。ユキ、落ち着いて考えよう。彼はあなたにとって大切な人だから、私がこの世に来させなければこの世にいない。それが私があなたに言っていることです」

Photo by James St. John

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