「早くしねえとお前の同居人を殺す」目の前で僕を拐った犯人が電話を…

「早くしねえとお前の同居人を殺す」 目の前で僕を拐った犯人が電話をしていた。恐らくキルと話しているのだろう。 キルは、この国の騎士団長をしていて、かなりの犯罪者を取り締まってきた。だから裏社会の人間からは凄く恨みを買っている。きっと僕を拐ったのもキルの命を奪う為だろう。

混乱のさなか、私は一体何が起こっているのかまったくわからなかった。ぼーっとしていて、状況に集中することさえできなかった。しかし、私はもう安全だった。誘拐犯からも安全だった。騎士団からも安全だった。キルからも安全だった。だから、生き延びるためにできることは何でもする。「ごめんね、キルちゃん。あなたを誘拐したのは私じゃないわ」 「大丈夫、謝らなくていい。あなたがいなくても私たちは大丈夫だから」 「アラアラ。あなたはとても落ち着いている!あなたは本当に最高です!」 「私はただの仲介人です。私はお金を手に入れただけで、今はあなたを助けている。お金がなくても生きていける」 「仲介人ってどういうこと?見せてやる」 「アラアラアラ。お金はないけど、少しあげるよ」。「ありがとう 私は地面に落ちていた分厚い札束を拾い上げ、電話で話していた相手に投げつけた。彼は素手でそれをキャッチし、驚いたような目でそれを見た。「ははは。君は本当に上手だね?」 「君も今回は生き残れるよ。この後、二人でここを出よう」 「オーケー。じゃあ、私はこれを」。「いや、これを飲んでほしい。私がどれだけ気にかけているかを示したい。どれだけ愛しているか。彼女の涙が頬を伝うのが見えた。彼女は私を強く抱きしめながら、目を泣き崩していた。いつからそうなったのかわからないが、私は彼女をずっと知っているような気がした。誘拐されたことをどんなに忘れようとしても、私は……。

Photo by cseeman

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