少年は自身の攻撃が防がれたことに一瞬、戸惑いを見せたが、すぐに体…

少年は自身の攻撃が防がれたことに一瞬、戸惑いを見せたが、すぐに体裁を取り繕い、小さく呟つぶやいた。 「ん〜?何か言ったかい?」 三琴はもの言いたげな少年の様子に気付いていながらも、少し意地悪く聞き返した。 「テメェ……このっ!!聞こえてただろうが!!!」 少年は再び拳を握りしめ、三琴に殴り掛かる。三琴は高く跳ね上がり、それを躱かわしたかと思ったら囁くようにこう唱えた。 《藻女之氷柱みくずめのつらら》  それと同時に、細く鋭利な氷・柱・の数々が三琴の手のひらから放たれ、少年の足元目掛けて襲い掛かった。少年は迫り来る氷柱を何とか躱し切ったが、先程まで少年が立っていた場所は完全に凍り付いていた。あと少しでも回避が遅れたら、少年の動きは完全に封じられていただろう。 「よっと……君、案外やるね!」

その時、少年と美琴は短いもみ合いになり、少年は美琴の袖をつかむことに成功した。少年は自分の力で美琴を引き離そうとしたが、少年はあまりにも弱かった。少年の体は恐怖に震え、美琴の手から逃れようとした。 非常に高い魔力を使って少年と戦っていた美琴は、手のひらの氷を切るために手を使う必要さえなかった。氷はすでにそこにあったからだ。もし彼女が氷を切るために魔力を使っていたら、少年は氷に押しつぶされていたかもしれない。 しかし美琴は、少年を殺したかったから魔力を使ったのではない。少年の体を凍らせ、動けなくするために魔力を使ったのだ。少年は逃げることはできなかったが、美琴が氷の魔法の効果から解放しない限り、何もできなかっただろう。 少年はようやく美琴の袖を離すと、すぐに逃げ出した。 「そうか。私がここにいる理由がわかったんだから、手伝わせてよ” “なんですって!?” 美琴は、その少年がこんな風に逃げ出すとは想像もしていなかった。美琴はどうしたらいいのかわからなかったが、時間がなかった。美琴は少年を取り戻さなければならなかったが、その前に、少年に何が起こったのかを知られないようにしなければならなかった

Photo by Secretaría de Cultura CDMX

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