天然物研究の一つの難関ポイントとしてあげられるのは、目的化合物の…

天然物研究の一つの難関ポイントとしてあげられるのは、目的化合物の量が少ないということがあげられると考えている。私も、この点にひどく悩まされた研究をしてきた。それを解決するためには、NMRでのパラメータを最適化させるというアプローチをとることができるが、一番の解決策は、抽出する量を増やすことであると考えている。自身の研究室では主にキノコの培養物から化合物の単離をしている。たいていは5L分の培養ロ液や、それに発生する菌体から化合物を単離するが、私の場合それでは全く足りず、現在までに私は計150L分の培養液から化合物の単離を行ってきている。人によってはそこまで微量で成分であれば単離してきてもと思うかもしれないし、スマートなやり方でないと考えるかもしれないが、このようにやるしか私には考えがなかった。人から滑稽にみられても、自分の研究のゴールにどんな形であれ到達できるような研究者になりたい。今後、研究者として研究を進めていく中でこのような場面には幾度となく迎えると考えているが、いわゆるスマートさだけではなく、時にはどんくさくやれるような研究者になりたい。

データを最大限に活用できるようにするためである。 実験の成功を左右するのは、対象物質の量だけでなく、サンプルの質も重要であることを思い出してほしい。この例として、2-アミノビフェニル(BAP)と呼ばれる分子を使った私の以前の研究がある。BAPは、時間がかかるだけでなく、キノコに深刻なダメージを与える方法で抽出される。しかし、この分子の最も興味深い特性のひとつは、他の分子を生成・破壊する酵素を強力に阻害するだけでなく、BAPの合成に必要な別の酵素の活性も阻害することである。N-グリコシル化とリン酸化と呼ばれるこの酵素は、ある種の菌類の生育に重要なβ-グルカンと呼ばれる別の分子の合成に必要である。 前回の研究では、合計150リットルの培養液から抽出物を得た。ちなみに彼の研究では、合計500リットルの培地からこの化合物を抽出している。次に、BAPを使った結果を見てみよう。この研究では、1mlの抽出液を使い、酵母細胞株(Saccharomyces cerevisiae)でテストした。BAPは、BAPの合成に不可欠な2つの酵素の活性を阻害し、別の酵素の活性を阻害することができた。

Photo by Josh Rokman – AI Images

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