十数年前に、父母を亡くして以来、母の手料理を食べたくて、おふくろ…

十数年前に、父母を亡くして以来、母の手料理を食べたくて、おふくろの味を真似てみてもその味にならず、もう一度食べたい

母の料理は私が普段食べているものとは少し違う。いつもの蒸し物や炒め物ではなく、調理の過程で使われる材料はごくわずかだ。調理工程はいたってシンプルなのだが、それでも私はその味が好きではない。彼女の手料理を食べるときも、自分で作るときも、まったく料理をしていないような気がする。でも、彼女の家で、彼女が作った最高においしい料理を食べているときは、この世にいるのではなく、現実にいるような気がする。 母と一緒にこういう料理を食べるのは幸せなことだ。 “お母さん、いつも作ってくれる料理は好き?” (ノエル)「ん?気に入ってくれて嬉しいよ。でも、僕の料理って、本当にお母さんと似てるのかなあ?” (マコト)「なんでそんなこと言うんですか!」(ノエル)生まれたときから加わっているものは、いくら全部真似しようとしても、味に近づいてないような気がする。 “これがオリジナルってこと?” (誠)「もちろん。子供の頃に食べた記憶がある。でも、これに匹敵するものはあまりないですね」。(ノエル)なるほど、どうやら本当に子供の頃に作った味が嫌いで、似て非なるものだと言っているようだ。 「そうなんですか?でも、いらないわけじゃないんだけど……」(マコト)「でも?お母さんの料理の味と同じだと思うけど」。(ノエル)「…そっか。

Photo by Pirates of Porto Ercole

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