月が明るく照らす夜道、セーラー服姿の少女が息を切らせながら走っていた。身長は160cmほどだろうか、腰まで続く黒髪をなびかせいかにも優等生といったような風貌。一心不乱に走る少女の体に異変が起こったのは少女の目指す施設にはほど遠い場所での事だった。突然足を止めたかと思うと苦しそうなうめき声を上げながら自らの股間を抑え込む。
“えっ!?”
少女は痛みの原因を振り返ると、ビルの上に人が座っているのが見えた。少女は自分の後ろを見ると、建物の上に座り、その上で寝ているかのように後ろにもたれかかっている男を見た。
“どうしたの?”
“私は背中が悪いの “と少女は言った。”医者に診てもらわないといけないけど、起き上がれないの”
“なるほど”
男はため息をついた
“医者に連れて行こう”
“待てよ”
“どうして?”
“動けないから なぜ動けない?”
男はため息をついた
“ごめんね。でも、あなたが大丈夫であれば、私は大丈夫です。”
少女はショックで振り向いた。少女の家までの道のりだった。
“先生が・・・”
“彼を知っているのか?”
“知っている”
“彼はどこにいる?”
“5分で着くと言ってました “急いでください”
“なぜ私が?”
“動けるのは私しかいないし あなたの面倒も見ないといけないから “一人では病院に行けない”
“でも なぜ私が?私は本当に怪我をしていないのよ”
少女は目の前の男を見た。その男の顔を見ていたことに少女は気がついた。