助けて下さい!

 助けて下さい! と声の持つ限り叫んだ。自分へ向けられた刃が、薄暗い中で鋭く光っていた。背筋を悪寒が駆け抜けていく。顔の輪郭を辿り、垂れてくる水滴はは冷や汗か、涙か。
 死ぬかもしれない。そう本能が告げてくる。
 早く逃げろ! そう理性が告げてくる。
だが体は言うことを聞いてくれない。竦んでしまった手足は使い物になるはずが無かった。
「動け……動け! 俺の足!」
今すぐ走り出して逃げてしまいたい。怖くて怖くてたまらない。喉がごくり、となると同時に、向けられた刃が皮膚を縦に切り裂いた。

体が震えていました。体内の水が渦を巻いていた。
自分の部屋の床が見えた。窓には一枚の紙が貼られていた。
“Shit…..”
 
 
 
 大男がいる。充血した目で私を見つめている。彼はどんな人なんだろう?
“彼に返すお金はありますか?”
私の答えはノーだった。
お金がない、としか答えられなかった。
お金はありません。お金がありません。
“I don’t get it. なぜ、お金がないと言うのか?”
“簡単なことだよ。君は外国人だから」。
“えっ?そんなのありえないよ。私は日本国民だ」。
“そうじゃなくて、あなたの体が外国人だということです。”
“私は外国人ではありません。私は外国人ではありません。私は日本の人間だ」。
“え?どうして仲良くしたいと思わないの?日本人の先生の顔を見ると、自分も仲良くなりたいと思うじゃないですか」。
“仲良くしたいとは思っています。友達になりたいんだよ。友達になりたいんです。日本と友達になりたいんだ。”
“あなたは普通の人だ”
“それは違うよ。私は普通の人ではない」

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