夕暮れの坂道、まだ少し寒い風が吹いている。

夕暮れの坂道、まだ少し寒い風が吹いている。指先を袖の中に隠してポケットに入れる。落ち着かない心が足取りに出ちょっとでて速歩きになってしまう。坂道を下って行くと船着き場に着く。こんな時間には誰も居ないけれど私としては有り難い。待合のベンチに座りケータイの画面を見るが、まだ着信は無いので昨晩のLINEを眺める事にする。

ベンチに座っていた時間は15分ほどだっただろうか。そして、懸命に体を起こし、ドアに向かった。あと15分は待てる。深呼吸をして、桟橋に向かって歩く。 胃は恐怖でいっぱいだが、自分以外の誰かのためにやっているのではないとわかっている。桟橋をゆっくりと歩き、周囲を見回す。暗闇の中、桟橋の階段に座って待っている人たちを見つけた。私は彼らに向かって歩き、これから神を探すのだと伝えた。たとえ元の生活に戻りたくても、私は良い人間だから元の生活に戻らなければならないのだと。私は彼らを愛していること、悪いことをしたことを心から反省していること、そしてこれからもずっと反省し続けることを伝える。母のこと、父のこと、友達のこと、同僚のこと、ボーイフレンドのこと、友達のこと、家族のことを考える。世界がどのように変わったかを考える。私が傷つけてしまった人たちのことを考える。母のこと、父のこと、友達のこと、同僚のこと、ボーイフレンドのこと、友達のこと、家族のこと。家に帰れないから、この暗い場所に留まる。 骨の髄まで疲れた。心臓はドキドキし、今にも気を失いそうだ。のどはカラカラに乾いている。深呼吸をしてドアを開ける。外に出た瞬間、左手に若い男の声が聞こえた。彼は驚いた表情で私を見ていた

Photo by dd-indy

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