―――けほ、けほ………っこほ、「……うわ、ほんとだ」「ね。

―――けほ、けほ………っこほ、「……うわ、ほんとだ」「ね。さっきからずぅっと咳してるんだよね」「チェックインしたときは普通でしたよねぇ?」「チェックインどころか打ち合わせの時も普通だったね」 こほこほと乾いた咳が続けざまに漏れ聞こえて、さすがに二人で目を合わせた。咳の間隔がみるみるうちに詰められていって、肺から絞り出すような音に変わっていく。それがあまりにも途切れないから、やっぱ茨って肺活量あんなぁ、なんてどうでもいいことを考えた。――ッけほけほ、けほ、こほ、ッ

“私はとげとげしい人間でしょう?” “とげとげ君、なぜ答えないの?” “……” “どうしたの?” 私はここに来た人を見て尋ねた。”ソーン君、出ないの?” “…..” “私に咳払いでもするの?” “……” “どうしたのか知らないけど、いつも静かだね” 隣の人は黙っているのに、私にはまったく聞こえない。「邪魔をするな、棘。質問したのに答えてくれない。もう失礼するよ” “行かないで” 私は帰らない、と心の中で思った。”ん?” “なんですか?” “茨木は茨木でしょう?” “……” “何を言われても答えない” “……” 私はようやく何が起こったのか理解した。”……” “……” 私たち2人はしばらく黙っていた。ようやく隣の人が口を開いた。”……” 「お邪魔して申し訳ありません。私は自分の外見にとても敏感な人間なんです」。”それは恥ずかしいですね” “私にすべてを話すのは構わないと思いますが、あなたの判断はちょっとおかしいと思います。わかっています” “そんな風に思わせてしまってごめんなさい” “いいんだ。いいんだよ、茨木” “茨木は茨木、茨木は茨木。ということは、茨木くん、ですか?” “そうだよ” 隣の人は輝く瞳で私を見て、思いがけない質問をしたが、言い終わるや否や、さっと顔を真っ赤にした。私の身体的なことを質問している間に、彼女は私の顔を真っ赤にした。

Photo by davidseibold

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