我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面している。誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。
はじめに この研究の目的は、人々が自分自身のワーク・ライフ・バランスを理解し、その知識を活用して、自分自身の仕事と生活について十分な情報に基づいた意思決定を行うのに役立つモデルを開発することである。特に、労働者の生活の中で仕事がどのように組織化され、それがワーク・ライフ・バランスにどのような影響を与えるかを探った。その結果、労働文化は職場で仕事がどのように組織化されているかによって影響を受けることがわかった。仕事とは単なる仕事ではない。それは、仕事を持つことが期待されている人の人生の統合された部分である。したがって、私たちの研究は、ワーク・ライフ・バランスは職場で仕事がどのように組織化されているかに関連しているという仮定に基づいている。 人々がこのような組織的要因を意識することは非常に重要である。というのも、仕事がやりがいのある有意義なものであるためには、仕事がその人の人生の不可欠な一部でなければならないからである。しかし、このような理解は、必ずしも人々にとって明白なものではない。そのため私たちは、人々が仕事に夢中になりすぎて、仕事と生活がどのように結びついているかを考えることができなくなってしまう可能性を懸念した。そこで、私たちは次のような目標を掲げて研究を計画した。すなわち、労働者の仕事が職場でどの程度組織化されているかを知ること、労働環境が労働者のワーク・ライフ・バランスにどのような影響を与えるかを明らかにすること、これらの影響が労働者にどのように感じられるかを理解することである。