人間にとって老いるということは善か悪か？
老化の生物学的な影響だけでなく、社会的な影響、つまり社会的な人間関係の衰退や人生の意味の喪失など、老化がもたらす社会的な影響についても理解することが重要であることを、私は老化に関する研究を通じて知っている。私たちの文化では、加齢は死と結びつけられているため、こうした社会的影響は見過ごされがちだが、研究により、社会的影響もあることが明らかになっている。つまり、老化の社会的影響は必ずしも死とは限らない。加齢による社会的影響には、失業、社会的孤立、生活の質の低下、家族の介護能力の低下などが含まれる。このような加齢による社会的影響は、生活の質に長期にわたって悪影響を及ぼし、当事者にとっては非常に困難なものである。 加齢による社会的影響に関心を持つべきだという考えは、新しいものではない。社会的問題は、長い間、社会的老化の重要な部分として認識されてきた。実際、何世紀もの間、人々は社会の幸福にとって社会問題が重要であることを認識してきた。例えば、19世紀から20世紀にかけては、工業化時代の問題、特に大量生産の台頭への対応として社会主義が台頭した。しかし、高齢化は社会にとって良いことだという考え方は、世界の他の地域では必ずしも受け入れられていない。 多くの人は、老化は個人にとって悪いことだと考えている