雑踏の中、視線を感じて振り返れば、こちらを見ていたずらに笑うテヨ…

雑踏の中、視線を感じて振り返れば、こちらを見ていたずらに笑うテヨンがいた。待って、行かないで。その声がテヨンに届くことはないが、無我夢中に人混みの街をかき分け泳いでゆく。やっと追いついたと思ったその背中は、どうしておれが近づくと離れて行ってしまうのか。たどり着く前に、テヨンは行ってしまった。

私は彼女の後ろ姿を見つめるのを止められない。新しい街に引っ越したことがないわけではないが、彼女の歩き方、座り方はあまりに違う。そういえば彼女はあまり化粧をしないが、それは彼女が化粧を恥ずかしがっているからなのか、本当に嫌いだからなのか、それともまだ手をつけていないからなのかはわからない。もしかしたら、隠すのがプロなのかもしれない。 帰りの電車の中でそんなことを考えていた。テヨンが髪型を変える方法と理由については、あまり情報がない。自分の気持ちを表現するためにすることもあれば、長い髪が好きだからという理由もある。その両方を兼ね備えているのだろう。 過去には、彼女のヘアスタイルに嫉妬したこともあった。しょっちゅう髪型が変わるのが嫌だったし、自分も昔の髪型にしたいとも思った。でも、彼女と一緒にいるようになってからは、それを受け入れることができるようになった。彼女は自分のヘアスタイルを変えるように、彼女のヘアスタイルも変えているだけなのだ。 最初から嫉妬していればよかったのかもしれない。考えてみれば、テヨンは他の女の子たちとはあまりにも違う。彼女のどこが特別なんだ?彼女はとても気楽だ。彼女は何事にも悩むことがないように見えるし、どうしてそんなに多くのことに対処できるのだろうと自分でも不思議に思うことがよくある。テヨンはとてもとてもシャイです。セレブとして見られるのを避けたいし、アイドルとして見られるのも避けたいから、とてもシャイなんだけど、それでも自分をどう表現していいかわからない。

Photo by sublimitas_spes

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